やあ、君。僕はホームズだ。そして、ホームズを愛するシャーロキアンの一人だ。
なのにーーシャーロック・ホームズと名乗っている。
第一幕ーー
僕はシャーロキアンの活動として、
アーサー・コナン・ドイルの
自宅の屋敷の
郵便受けの前にいた。
グループの一員として、
バカらしいと
思いながらも、
自分を含めた皆の
手紙を投函した。
「ホームズを我々にーー。
他の作品なんて
誰も読みはしない。
何が歴史だ、
クソくらえーー」
ーーほんのちょっとばかし、
非難が多かったかもしれない。
そのせいで、
コナン・ドイルを怒らせてしまった。
彼に待ち伏せされ、
メンバーはちりぢりに逃げた。
圧倒的な推理力も、
観察の力も役に立たない。
僕はコナン・ドイルに
押し倒されたーー。
「ーーこのまま警察に
突き出してやる!」と
彼は唸った。
またスコットランドヤードの
世話になるのだけはイヤだったーー。
前に一度厳重注意だったが、
次はどうなるか分からなかった。
だけどーー
彼は気が変わったようで、
僕は屋敷の中に連れ込まれた。
「今から屋敷の連中に、
お前を紹介するつもりだ。
なぜかって?
これからお前はここに住む。
付き人だからだ。
断ってもかまわん。
また違うやつを
捕獲すればいいだけだーー」
僕は周囲を観察した。
屋敷の廊下には赤い絨毯が
敷き詰められていた。
ところどころが濡れていた。
誰かがこぼしたのか?
近づかないと分からない。
それからコナン・ドイルを眺めた。
彼はベージュのナイトシャツを着てた。
この色はまるで彼の肌のようだ。
裸で歩いてるーー
まるで王様のようにーー。
使用人たちの
集まった部屋に通された。
中央に四角いテーブルが置かれて、
椅子が三個無造作にあった。
ーー僕は人前が嫌いだ。
イヤだ。
人の目線は、
まるで非難するように見えた。
悪い事なんてしてないのにーー。
「お前たち。
私の新しい付き人のホームズだ。
私が執筆中には、
好きにこき使ってかまわない。
給料は、そうだなーー」
執事頭の男に
何か話しているようだった。
僕は口を貝のように閉ざしてた。
怖かったからだーー。
次にコナン・ドイルから
案内された部屋へと向かった。
そこは屋敷の奥の部屋だった。
誰もここにはーー
あまり近寄らないのかーー、
この辺りには踏み跡があまりない。
荒らされてないんだ。
扉の奥から、
咳き込む声がした。
コナン・ドイルはズカズカと
入っていった。
僕も彼について行った。
誰か風邪をひいているのかもしれない。
ーーそう思ったんだ。
部屋の中では、
窓が開けられて換気されていた。
それでも消毒液の臭いが、
鼻を刺激した。
「待たせたね、トゥイ。」と
コナン・ドイルは、
寝台にいる女性の頬にキスをした。
窓から差し込む白い朝光が、
その女性の蒼白い肌を照らしてたーー。
「あら、あなたーー。その方は誰?」
「私の新しい付き人だ。
驚くなよ、ホームズというんだ。
シャーロキアンの
シャーロック・ホームズだ。
何かしてほしい事があれば、
彼を使え。
ここのヤツらより動いてくれるーー
そうだな、ホームズ?」
コナン・ドイルは
少しだけ視線を険しくして、僕を見た。
「は、はいーーぼ、ボクなんかに
できることあれば、なんなりとーー」
わざと顔を下に向けた。
ベッドサイドの薬瓶が
視界に入った。
ーー彼女を見るのをやめた。
なぜかって?
僕はーー医者ではないからだ。
それでも彼女の容姿を
表現しなければならないなら、
僕はこう言おう。
ーー彼女はキレイだったと。
これ以上はーー
深く聞かないでほしい・・・・・・。
彼女の名はルイーザ・ドイルだ。
そして、この屋敷の本当の正体はーー
彼女の最後の家だったーー。
こうして、第二幕は最後の家で幕を閉じる。
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